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第42回 ブログでバイオ 番外編「じゃぁ、僕が博士課程に行ったのはなぜなのかを書いてみよう」

  1. 2008/05/24(土) 23:04:41|
  2. 社会の変化|
  3. トラックバック:2|
  4. コメント:0
WEB2.0(っていうんですか?)ITベンチャーの社長のブログで、
ブログでバイオ 第42回「じゃぁ、僕が博士課程に行かなかったのはなぜなのかを書いてみよう」がアップされており、
幻影随想さんはブログでバイオ 第41回「私が博士課程に進学しなかった理由」が 書かれている。

折角なので、第42回 番外編で、「じゃぁ、僕が博士課程に行かなかったのはなぜなのかを書いてみよう」を書いてみましょう。


私は 一度 一般企業で働いた後に 大学院へと進んだので、大学院に進むに辺り、会社を辞めるという条件がつき かなりしっかり考えた(他の進学者が考えてないと言う意味ではありません)。


★まず、なぜ最初 大学院に行かなかったのか?
1.大学院の先輩が余りに凄かったから。
2.金銭的なことに負い目があったから。

1.大学院の先輩が余りに凄かったから。
大学時代の研究室には 博士課程の先輩がいました。その人は、何を聞いても正確に答えてくれるか、調べ方を教えてくれました。人間的にも立派な人でした。さらに、海外渡航の経験も無いのに留学生と英語で会話。当時の私には全く何を話しているか理解できなかったので、先輩がどこまで正確に英語を使っているかは、分かりません。しかし、留学生は普通に会話の内容を理解し、その後行動していました。

この先輩を知れば知るほどに、自分が大学院に行く器でないと分かってしまった。そこで、私は大学院進学を諦められた。「先輩のせい」ではなく、「先輩のおかげで」。なお、卒業後数年して分かったのですが、この先輩はその学年での主席だったそうです。

2.金銭的なことに負い目があったから。
当時の私にとって さらに数年の仕送りを親に頼むのが気が引けたこともあります。幻影随想さんが詳細に金額を出しているのでそちらをご覧ください。私の場合は 下宿生でした。

このような点から 私は企業行きを選びました。


★では何故、安定した職を捨てて大学院に進んだのか?
1.自由に研究がやりたかったから。
2.世の中、金銭以上に大切と感じるものがあったと(当時)思ったから。

1.自由に研究がやりたかったから。
企業でも研究職でした。それも かなり基礎的な研究。(良い時代だったのかもしれません。)
しかし、研究を進めていくと、どうしても先端技術を学びたくなってきました。企業では 外部に教えを請うということは、非常に高いハードルを超えねばなりません。私のような入社数年の若造の意志だけではどうにもなりませんでした。その点、アカデミアでは、何とかして教えを請うなり、共同研究を進めるなりができます。
 さらに、上司と研究戦略の対立による方針の変更も余儀なくされました。上司は、某有名大卒で博士保有者で、彼の支持する説は、Natureに発表されたもの。若造の私の意見(データー)では、十分に上司の説を曲げることはできませんでした。さらに、研究能力が足りないとして 当然のように給与に反映。当時の私は、給与が減ったことより、自分の出しているデーターが全く評価されていないことに対して、上司に激しく抗議しましたが、どうにもなりません。結局、上司の研究方針にしばらく従った後に 会社を辞めました。現在、上司の指示した説は誰も取り上げなくなっています。

2.世の中、金銭以上に大切と感じるものがあったと(当時)思ったから。
研究は、金銭に代えられないものと感じていました。大きなところでは、今も変わりませんが、やはり現在のポスドクの状況を考えると、複雑な気持ちになります。会社員の頃は 独身であったこともあり、本当に金銭的には余裕がありました。しかし、この生活を捨てても研究をしたいと思い、退職しました。大学院では、先の2の思いから仕送りは一切受けませんでした。在職中の貯金と育英会とバイトなどで 本当に貧乏でしたが、卒業できました。
 その際に、先に述べた研究室の博士課程の先輩が 大学院での研究者のモデルでした。大学院時代に その先輩に近づいたのかは分かりません。



★アカデミアに戻ってどうよ?

自由に研究できています。確かに要らぬ横やりが沢山入ってきますが、企業研究者の不自由さと比べると夢のようです。ただし、給与も 少ないです(能力があればもっと多いのでしょうが)。

ただし、企業研究者の数年は、私にとって非常に有益な経験です。学問的以外にも 研究や社会の流れを大きく見ることもできるようになりました。しかし、この数年間の遠回りは、アカデミアでの研究者に 様々な年齢制限に影響してきます。


大学に戻ってかなりなりますが、最近気になるニュースが報じられています。
asahi.com:国立大授業料、私大並みに 財務省、5200億円捻出案 - 社会
もし実現されれば、どうなるのかは 幻影随想さんが取り上げており、全くの同感である。
(1)地方国公立大学の入学者数激減、レベル低下。
(2)基礎研究基盤の弱体化
(3)高所得知識階層の固定化
以上の 3点は 避けられないと 私も思います。

ただし、現在の私学助成というのも酷いもんです。確かに素晴らしい業績を上げ、研究者のバックアップを精力的に行っている私学もありますが、誰も使わず全く管理されていない機械に大金を掛ける私学もあります。それらの機械はせいぜい入学パンフレットに設備品として写真入りで紹介されるためのもの。

このような私学を含めた大学(教育、研究)の現状を 日々目にしていますが、この時期大学院説明会が開かれ始めています。
(昔は、こんな制度無かった。)
研究室を訪問してくる学生さんは 研究に夢を持ってやってくるが、正直 我々は入学前から学位取得後のことを心配しています。私の場合、霞食ってでも学位を取って、職が無ければ海外に出るつもりでした。運良く今の職にありつけましたが、これが安定職とは全く思っていません。

学生さんは、博士課程に進学する前によく考えた方が良いと思います。私達のできることは 自分達の経験に基づいたことを厳しく教育するだけです。それは、(現在 我々が)各研究者の将来への備えと信じていることなのです。研究以外は考えられないとの強い意志がないと、大学院教育(博士課程の求めているもの)にはついて行けないと思います。観光気分で学位を取りに来た学生達が気付くのは4年以上先なのです。当然、研究への思いが途中で冷めても構わないと思います。もし、研究以外に進むなら早いほうがいいです。それが遅くなればなるほど この国ではハンデとなります。

さらに研究環境の酷さは変わりませんし、もっと酷くなる可能性が想定されています。周りに働きかけて変えるより、自分が求める環境に移る方を勧めます。少なくとも日本では 若者が自分たちの環境を変えることは難しい。環境を大きく変えることを考えるより、環境に応じて自分を変えるか自分が適した環境に移る方が 生物として自然ですよね。



追記:先のお二人(「web2.0・・」さんと「幻影随想」さん)と比べると軽い内容なので、トラックバックなどせずに、web上にひっそりと存在させておきます。この時期に進学に悩んでいる学生さん達に 考える参考になればと思い アップしました。


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